広告の世界で頑張ってきたプロたちが「ウリアゲガンバ」でまた頑張るワケ

ご存じの通りニューホライズンコレクティブ(NH)に参加しているメンバーは元電通のOB、OGたち。独立の道を選んだその動機は様々で、これまで培ってきた広告関連の経歴をそのまま活かし個人で仕事を広げていきたいという人もいれば、今までとは全く違う世界に飛び込んでみたかったからという人もいます。人生100年時代の生き方を自ら設計していくにあたって、追い求めるビジョンは一人一人面白いほど違っています。ただ、その感性や知見の根底に流れるものは、やはり広告マンとして数十年の間培った濃密な経験値であることは間違いありません。 同じく電通のグループ会社である株式会社電通ランウェイ。この会社が提供する新サービス「ウリアゲガンバ」では、そんな広告百戦錬磨のプロを擁するNHメンバーとの先取的なコラボレーションが始まっています。 (「ウリアゲガンバ」ホームページURL: https://www.uriageganba.jp/)

マキアート
クリエイティブディレクター、コピーライター、コンポーザー

巻島英司

巻島英司さんのプロフィール:
◆コピーライター→CMプランナーを経験した、いわゆる「コピーベース」のクリエイティブ・ディレクターです。◆コミュニケーション全般の企画、コピーライティングのほか、作曲、動画制作を承ります。◆音と音楽に強く、中学時代から作曲をしています。自作のCMで作曲を数多く手がけています。◆CR部門の中での経験はカラフル。一番長く在籍した東京本社(国内部門)の他にも、中部支社、東京本社海外部門、電通東日本など、国内の小さなローカルクライアントからナショナル、ワールドワイド、さらには外国籍の海外ローカルクライアントまで、業種もありとあらゆるものを経験しました。◆英語力はぼちぼちですが(TOEIC735点)、英語・中国語・ベトナム語・韓国語など、多言語の広告企画制作や海外での英語での講演(スピーカー)や英語プレゼンも経験。◎【受賞歴】ACCグランプリ・金賞・技術者特別賞等々、TCC新人賞、広告電通賞部門賞等々、ニューヨークCMフェスティバルゴールド、愛知広告協会賞グランプリはじめ多数◎とりわけ、「音が主役」のCM(ラジオCM等)が得意。十八番の作曲力を絡めて受賞作も複数あり。◎ピアノも弾きます。バーのピアノ弾きもしています。

Anchor企画
プロデューサー

牧野浩司

牧野浩司さんのプロフィール:
新聞局に2年、それ以降は、ほぼ全てが営業として「クライアント」と対峙してきた。いい時もあれば、悪い時もある。オリンピック絡みでの作業にも携わらせていただき、非常に良い経験をした。競合プレゼンもたくさん経験し、自分なりに必死になってやって来たつもりだが、そう簡単には取れないものだと悩んだことを思い出しました。様々なクライアント担当をしたが、東京電力の3.11の時には本当にこれほどの経験をすることがあるだろうかと思うほどの激震だった。これから、どうなっていくのかという中での作業は非常に厳しかったが、本当の意味でクライアントとの強い絆が出来た気がした。

「ウリアゲガンバ」のチャレンジ

「テレビCMを始めたいけどどうすればいいの?」「今の広告活動は本当にこれでいいの?」「広告活動を本格化したいが社内に専門家がいない」・・・そんな広告に関するシンプルな悩みや疑問に真正面から応えようと立ち上がったのが「ウリアゲガンバ」というちょっと風変わりな名前のサービス。これまで広告主、広告会社も含めかなり属人的な経験値と対応力の中で進まざるを得なかった広告の仕事を、もっと気軽に相談できるデジタルサポートに転換できないかと2021年5月に開始したサービスです。 「最終的には広告の受発注をすべてオンライン上で完結できるような設計にできないかと。そんなコンセプトでプロジェクトは始動しました」 と語るのは、電通ランウェイでサービスの企画担当をする木部亮平さん。まず木部さんが考えたのは「ウリアゲガンバ」のメインステージともいえるホームページに見込み顧客をどう集めるか、ということでした。そのために考えた方策の一つは、HP内で広告に関する記事を量産してSEOでネット検索の上位表示をさせること。いわゆるコンテンツマーケティングという発想でした。 「ただそれを社内の人間に書いてもらおうとすると営業が忙しくて手が回らない、また外部のライターさんにお願いしようとすると、広告の専門的な知識が足らずに書けない、ということが起きてしまいます。であれば広告に関する様々なバックボーンをお持ちのNHのメンバーの人達にお願いできたら、と考えたのです」 木部さんは早速NHに相談し、快諾を得ました。 「広告に関する顧客のニーズがどこにあるのか、さまざまなケースがあると思うので、記事のテーマも一つに絞れない。その点、あらゆるジャンルの記事が書けるNHの体制が非常に助かっています」 メディア、クリエーティブ、プロモーション、マーケティング、広告トレンド、、、。これらは実際に今「ウリアゲガンバ」のホームページ内にある記事のカテゴリー群ですが、広告を展開するにあたってはまさにこういった多様な知識や職種が合従連衡して作業にあたり、一つのキャンペーンとして世の中に発信されていきます。おそらくたった一人の人間がすべてを取りまわすということは困難です。NHには電通時代に各専門セクションで経験を積んだメンバーが多数在籍しており、どの方角のテーマで切っても誰かが対応できるという環境があったわけです。 (以下写真:木部亮平さん)

書くことの効用

いっぽう依頼を受ける側のNHメンバーはどんな思いで作業にあたっているのでしょうか。「ウリアゲガンバ」記事作成プロジェクトの取りまとめとしてNH側で業務にあたっているコピーライターの巻島英司さんにお話を聞きました。 「最初に伺ったのは、とにかくホームページを充実させたい、見るだけで広告の基礎知識が学べるようなものにしたいので様々な分野の記事がほしい、ということでした。ですので、まずメンバーの中から幅広い書き手候補を出すことから始めました」 ルーティンの手順としては木部さんたちランウェイ側のスタッフと毎月一回のmtgを持ち、今月はどのようなテーマを取り上げるかをすり合わせながら各メンバーに執筆依頼をするそうです。 「私のほうからテーマを与える時もありますし、メンバーから候補としてテーマを出されることもありますね」 巻島さんは、いわゆる編集長の役割で、記事のテーマ設定、それらを校正、添削した上でランウェイ側に納品する作業を担っています。 実際にメンバーはどういったモチベーションで記事を書いているのでしょう。 「ひとつは自分自身の経験値の棚卸になっているようです。人に伝えることで知識の整理やアップデートにつながっている。記事を書くことが更に次のステップに進むための足固めになっている人が多いようですね。後はそれぞれの分野では深い専門知識を持ちつつも文章を書くということの経験はこれまであまりなくて、執筆自体を新鮮に感じている人も多いようです」 その他にも今後は広告分野に限らず、ライターとして一本立ちをしたいと思っているNHメンバーもいるそうで、「ものを書く」ということが様々なプラスの影響を各人に及ぼしている状況があるようです。

新たな試み

実は「ウリアゲガンバ」とNHで、もう一つ今新しい企画が立ち上がっています。「気軽に宣伝部長」というサービスで、顧客の広告に関する課題に個別サポートを実施するというもの。まず「ウリアゲガンバ」が広告主のニーズを聞き、NHからそれに最もふさわしい人材を派遣するというスキームです。 「今後さらにお客様を開拓していくにあたって、わかりやすいサービスが欲しかったのです。さまざまな悩みを抱える広告主のニーズに、経験豊富なNHの皆さんになら個別に対応してもらえると」 と語る木部さん。 この「ウリアゲガンバ」とNHのタッグはもう一つ戦略的なメリットもあったと言います。 広告主の中にはやはり最初はどうしても大きな予算をかけられないといったこところがあり、そういった場合電通ランウェイとしては受けられなくても、原則個人で稼働するNHメンバーであればビジネスとして成立する・・いっぽう最初は扱いにならなくても、やがて仕事が拡大した時には電通ランウェイも参加するとのことでウィンウィンの関係が築けるというのです。

新しいビジネスの地平線

「電通ランウェイは若いメンバーが多く、他業種からの転職組も多い。いろんな意味で知識が拡散しているところに、この業界の経験と実績の豊富なNHの皆さんが加わってもらえれば、凸と凹がしっかりかみ合ってくると思うのです」 と現状の取り組みを評価する木部さん。今後ウリアゲガンバ主催のセミナーの講師としてNHメンバーに依頼することも検討したい、と語ってくれました。 巻島さんもまた 「今後もさらにウリアゲガンバの顧客開発に協力したいですね」 と目を輝かせます。今やっていることを起点としつつ、これまでに掲載した記事なども活用し、自主プレゼンテーションをして新しい広告主を開拓していきたいとのこと。 こうしたトライアルを重ねながら、 「【スポットCM】、【GRP】などの広告用語をいまネット検索にかけると、ウリアゲガンバの記事が検索上位に上がってくるようになりました。またHPのアクセスも徐々に増えてきています」 と嬉しそうに語る木部さん。 創立からまだ4年目で勢いのある電通ランウェイと、広告ベテラン集団のNH。 世代を交差させた熱き面と面の重なりと研磨が、強力な磁場となってビジネスを広げ動かしていく。次世代の仕事の地平線は、こうやって切り開かれていくのかもしれませんね。

ライター黒岩秀行