―「カレー」というテーマが出たときどのように思われましたか?
小峰参事官「Z世代に向けてのアプローチとして決めたのは、食の問題について‘特定の方向に向かわせる’ということではなく、まずは‘考えてもらう’だけでいいということでした。そういった意味でカレーはそれを端的に集約できるものだったと思います。あの
動画 は、デザインをグルーヴィジョンズにお願いして制作しましたが、カレーを題材にその背景にある原材料がどうなっているのかを知ってほしいというだけで、あとは自分で考えるって仕組みになっているんですよ。きっかけだけ与え、気づいた後は自分たちで考えてもらうほうがよいと」
今回の組織的な座組としては推進主体として農林水産省。電通が受注しNHメンバーである石原さんに声がかかったのは2年目。これまで記したようにプロジェクトは明確な方向性が最初から決まっていたわけではなく、農水省と電通・NHが議論に議論を重ね徐々に骨格が定まってきたものだ。どちらがリードしてということではなくお互いに意見をぶつけ合いながら進められていく状況は、チームとしてまさに官民一体を具現化しているのではないかと思われた。いや、ひとつの目的へ向けて進む熱量の中においては官とか民とか区別することすらもはや意味をなさないのかもしれない。推進パートナーである企業やメディアへのアプローチ・調整も手分けして行うし、また演出的にも非常にクオリティの高い件の動画制作については、
「みんなでアイデア出しはしましたが、スクリプトからなにから実際のクリエーティブディレクターは小峰さんでした」
と石原さんも楽しそうに振り返る。