2022.10.12
プロジェクト;ビジネスプロデュース・経営・事業開発;

人生でやり残している「何か」とライフシフト     〜社会課題の解決を目指すチーム ソシャる!の奮闘記〜

 今年7月、ニューホライズンコレクティブ合同会社(以下NH)はメンバーに対して満足度アンケートを実施し、90%の人が現在について「満足している」と回答しました。  日々の業務を含めて様々なことにチャレンジできているということも大きいのですが、自分が本当にやりたかったことを同じ志を持つ仲間と一緒に取り組むことができる、という要素も大きく作用しているようです。  それを裏付けるように、NHではメンバー有志による自主的な活動が盛んなのですが、中でもとりわけホットな活動をしているグループのひとつが、社会課題の解決を目指して活動しているチーム「ソシャる!」です。  「社会貢献」と「ホット」という言葉の組み合わせを、少し意外に思う方もいらっしゃるかも知れません。たしかにボランティア活動やチャリティーイベントの開催など、社会貢献といえばやや静かで地道な活動を想像しがちですが、このチームはとにかく熱いんです。  ある時は、NHメンバー全員から毎月一定額の寄付を募り、それを1年間積み立ててNPOをサポートする基金とするという、まさにNHをひとつの助成団体化するようなプランを提言したり、またある時は電通グループ内のプロボノ活動組織である「Dentsu for Good」に協業の話を持ち込んだり、さらにはなんと、あの方が会長を務める社会貢献支援財団(FESCO)のドアをノックして、気がつけば一緒に活動していたり…… まさに社会課題の解決をラジカルに進めている感のあるチーム「ソシャる!」ですが、そもそもなぜ社会貢献活動に取り組むのか、そして活動を通じて何を成し遂げようとしているのか、チームのメンバーに聞いてみました。

新倉昭彦さんのプロフィール:
60歳の定年退職直前に、65歳までの継続雇用か、それとも独立してニューホライズンコレクティブ合同会社(NH) に参加かで大変悩みましたが、人生100年時代と言われる現代にあって人生の二毛作・三毛作をめざしてより豊かなセカンドキャリアを築きたいという思いが強く、NHに参加しました。①NHプロフェッショナルパートナ―②ビジネスコーチ③キャリアコンサルタント④大学非常勤講師⑤中小企業顧問⑥組織開発アク...
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巻島英司さんのプロフィール:
◆コピーライター→CMプランナーを経験した、いわゆる「コピーベース」のクリエイティブ・ディレクターです。◆コミュニケーション全般の企画、コピーライティングのほか、作曲、動画制作を承ります。◆音と音楽に強く、中学時代から作曲をしています。自作のCMで作曲を数多く手がけています。◆CR部門の中での経験はカラフル。一番長く在籍した東京本社(国内部門)の他にも、中部支社、東京本社海外部門、電通東日本など...
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栗原敏雄さんのプロフィール:
KURIO creative partners Inc 代表取締役。電通勤務時はクリエーティブ局にてマスコミュニケーション戦略立案と実施を担う。1987年~2001年まで関西、その後東京勤務。大手家電メーカー、自動車メーカー、飲料メーカー、鉄道、エネルギー関連企業などを担当。広告賞受賞歴多数。今後はOVER60であることを武器にアイディアを出していきたい。高齢者の、高齢者による、高齢者のためのク...
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後藤康夫さんのプロフィール:
広告・宣伝領域以外の幅広い領域において、数千円のちょっとした仕事から、十数億円のシステム開発の仕事、また数千億の国家プロジェクトの事務局の取りまとめ役まで実施してきた経験があります。色々な方と仕事をご一緒できることに喜びを感じて、ご一緒出来たことに満足していただけることを目指して、お仕事を完遂することをモットーとしています。キャッシュレスやエネルギー関係に詳しいと自負をしておりますが、専門家とい...
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「ビジネスパーソンを社会の中に」という思い


 チーム「ソシャる!」を主宰するプロジェクトマネージャーの新倉昭彦さんは、早くも電通在籍時代に日本ファンドレイジング協会(JFRA)の準認定ファンドレイザーの資格を取得しました。 「年齢的、立場的に社会課題にコミットすべき時期なのだと思いました。社会が抱える様々な課題に対して、はたして年金を受給するような年齢になってから取り組むことができるのだろうかと……」(新倉さん)  そして自分のやるべきことは、特定のNPOで仕事をするというより、社会貢献活動をする人、特にビジネスパーソンを増やすことだと思いました。 「世の中を見渡してみると、皆さん会社の看板も背負っていますし、自身の人生の可能性についても、企業文化の中だけで考えがちです。その一方で何か人生の意味についてモヤモヤしたり、それに対してどうせ社会も自分も変わらない、と言い訳がましくなったりします」 「誰でも社会の役に立ちたいという、自分の中で消えない火種のようなものがあるものです。たとえ仕事人生の中で忘れつつあるとしても。ひとたび企業と自分の関係性から離れて社会の中で人生を俯瞰すれば、まわりにやるべきことはいっぱいあります。人生をムダ使いしないためにも、ビジネスパーソンの皆さんにそう提言したいです」(新倉さん)  そんな新倉さんにとっては、NHもまた社会貢献への取り組みを啓発すべき対象でした。 「制度的・体力的な余裕、電通時代に培った課題解決力など、NHメンバーはいま世界で最も社会課題解決に取り組むべき人たちですから笑」(新倉さん)  新倉さんの最初のアクションは、NH立ち上げ直後の2021年2月、NH内でJFRAの鵜尾雅隆代表を招いてセミナーを開催したことに遡ります。それらの啓発活動によって、その年の秋にはメンバーの中に準認定ファンドレイザーが一気に誕生。チーム作りの礎石となりました。  ところで、最近ファンドレイジングという言葉をよく耳にしますが、どのようなことなのでしょうか? 同じく主宰メンバーで自身もファンドレイザーとしてJFRAの仕事もしている、匿名希望のKさんが説明してくれました。 「ファンドレイジングとは、狭義では社会課題の解決に向き合う非営利組織等の活動資金の調達を指しますが、広義ではそういった団体の『できることを増やすこと』だと私は解釈しています。そして日本ファンドレイジング協会は、寄付・社会的投資がすすむ社会の実現を目指して設立されたNPO法人です。ファンドレイジングにかかわる人や寄付・社会貢献に関心のある人々のために、ファンドレイザーの認証や各種研修事業、カンファレンスの企画運営や白書発行などの活動をしています」 (写真:新倉さん)

寄付者のNPOとの架け橋となるような、中間支援活動の事業化


 チームメンバーの1人、巻島英司さんと社会貢献の関係もまた電通時代に遡ります。巻島さんの電通時代の顧客に、子どもの権利や女の子の差別是正を目指す公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンがありました。その当時、担当者さんとの会話の中で「パンを差し出すのではなく、パンの作り方を教えるのだ」という言葉に、巻島さんは強く感銘を受けたといいます。また、新聞の記事に「ファンドレイジングを継続的に振興する秘訣は、それをコミッション(手数料)ビジネスとして成立させること」と書いてあったのも印象的だったと振り返ります。 「電通は多くの顧客を持っており、社としてもCSRに力を入れていました。これから社会貢献をしたいという企業があれば、電通はそういった企業と社会貢献団体を繋ぐ形で貢献することができるのではないか、と考えていました」  そして巻島さん自身も、知的障がいを支援する医師の団体、肺がん患者の会といった団体などにアプローチしましたが、個々の団体にそれぞれのニーズや事情があり、話を進めていくのはなかなか難しいことでした。そんな折に新倉さんの「NH全体での社会貢献活動を支援する」という趣旨に賛同し、チーム「ソシャる!」に参加したといいます。  巻島さんの考える理想の姿は、社会貢献のマッチング、寄付者のNPOとの架け橋となるような、社会貢献の中間支援活動の事業化です。 「例えば本州では積極的にウミガメの保護をしていて、八重山の島嶼部ではウミガメの増加による生態系の破壊が指摘されています。そしてウミガメの保護活動は何十年という期間にわたる話です。そうすると、自分が今からウミガメについて勉強をして、個人として一体どこまでできるだろうか……という感覚になります。自分の経験と残りの人生でできること、という視点も大切です」 「JFRAの会員の多くは何かしらのNPOの所属していることが多いのですが、それに対してフリーのコンサルタントのようなファンドレイザーの存在が、今こそ必要だと感じています」(巻島さん) (写真:巻島さん)

NH自体もまた社会課題解決の先行プロジェクトである


 もう一人のチームメンバー栗原敏雄さんは、電通時代に「ダイバーシティラボ」で社会をよくする活動に関わってきました。例えば障がいのある方はトイレの煩わしさから外に出なくなり、その結果人生がハッピーにならないという観点から、デザイナーの鶴丸礼子さんと障がいを持つ方々向けの服作りを企画しました。企画は大手アパレルメーカーにも提案したそうですが、結局事業化はしませんでした。  栗原さんは、社会貢献がボランティア活動などに対する「こうあるべき論」や「献身的精神性」が立ちすぎてしまうことで、活動を動かす力が弱まってしまうのを感じるといいます。社会貢献をビジネスとはいわないまでも事業にすること、社会貢献活動にメリットを創ることが世の中を巻き込む力になると考えています。 「自分が直接社会の役に立つことより、小さくてもムーブメントを起こすことが重要です」  そんなひとつの例として、栗原さんは特定非営利活動法人クロスフィールズの活動を挙げます。  その団体は企業の社員を国内外のNGOやスタートアップに数ヶ月単位で派遣、社会課題解決の体験機会を得る「留職」プログラムや、オンラインまたは現地を訪問して社会課題の解決を体験するフィールドワークなどをパッケージ化して、社会貢献への関心が高い企業に提供しているNPOです。 「NH内にもソーシャルビジネスのユニットが立ち上がり、我々に事業を発注してくださる企業が出てくる、というのが理想的ですね」(栗原さん)  もうひとつ、NHが社会貢献活動をする意義について、栗原さんは別の側面からも明快な説明をしてくれました。 「社会貢献が根本にはありますが、NHがそれに取り組むということにも大きな意味があると考えています。というのも今や社会課題の第一位は、生きがいを見つけることです。その意味でも、ライフシフトの先行集団であるNHメンバーが社会貢献事業を通じて『生きがい』を実感することは、そのまま社会課題解決の先進的事例なのです」 (写真:栗原さん)

他者に関わること自体が、自分の生活や人生を豊かにしてくれる


 先ほど登場したK氏も、電通時代に仕事を通じて「組織内弱者」「社会的弱者」に接する機会があり、彼らにそっと寄り添うことはできないものかと漠然と考え始めたといいます。  ある時、新倉さんに誘われてJFRAの大会にオンライン参加してファンドレイジングの世界に出会うと、今度は実際に自分の目で見て何かできることを探りたいと思い立ち、その週末には地元でホームレス支援をしている団体に直接連絡して支援活動の手伝いを始めました。印象的だったのは1人のホームレスの男性との出合いでした。 「声を掛けてくれてありがとう。この1週間、近づいてきたのは犬だけだった」と感謝の言葉を言われ、Kさんは衝撃を受けました。  支援活動を始めてみると、そこにはこれまで見えなかった、あるいは無意識に見てこなかった世界があり、社会との関わり方を考えさせられました。それ以来、生活困窮者のニュースに耳が反応するようになり、そして考えるより先に動き出すようになりました。  出来事を外から「意味づける」より、自らをまず中に「位置づける」ことによって、まったく新しい世界が見える……それは不思議な感覚だったといいます。  近年よく言われる「働きかた改革」についても、その行き着く先は「社会との関わり方改革」とKさんは言います。 「ある専門家が『自立するとは依存先を増やすこと』だと言っていました。他のキャリアの専門家は『自分にとって大事な人物を5人挙げた時に、5人それぞれが他の4人の知人ではないということが人生を豊かにする』……そんな趣旨のコメントがありましたが、人脈の多様性を維持することは意外と難しいものです。社会との関わりを多様化すること。それこそが人脈を広げ、できることを増やし、ひいては自分らしく生きること、すなわち豊かな人生に繋がるのだと思います」 「社会貢献についても同様です。義務とか誰かを助けたいとかいった独善的な思いだけではなく、他者に関わることそれ自体が、自分の生活や人生を豊かにしてくれると考えるようになりました」

JFRAとの関係から見えてきた、新しいソーシャルビジネスの形


 ファンドレイジングについても、Kさんにはある強い思いがありました。 「社会課題に向き合おうとする団体に必要なのは資金だけではなく、加えて人脈とか知恵も集め、つないでいく活動があってはじめて一歩前に進むのです。その意味でも世の中のヒト・モノ・カネ・情報の流れを変えることを通じて、その団体ができることを広げていくこと、すなわち『共感のマネジメント』がファンドレイジングの根幹だと考えます」  K氏のその思いはやがてJFRAにも伝わり、共感マネジメントを通じてファンドレイザーの可能性を探る仕組みづくりといえる「エコシステムプロジェクト」をJFRAから受注。社会貢献アクションがビジネスの原動力を持つことで、大きな推進力を持つことが見えてきました。  例えば「若者と一緒にまちづくりをする」というプロジェクトは、地域の方々や商店街の方々、首長や多くの行政職員など、まさに共感の輪を広げることで推進されました。その様子はNHKをはじめ多くのメディアにも取り上げられています。 (まちづくりの模様はメディアにも取り上げられました…写真はNHKのHPより)

ファンドレイジングとは社会課題解消のグランドデザインをすること


  NHメンバーの後藤康夫さんは電通時代、ソーシャルインパクトボンド(※)に関連するセミナーのお手伝いで、JFRAの鵜尾代表と面識を持ちました。   後藤さんも電通の営業として事業開発などを行っていた時の経験などから、広告出身のNHメンバーが社会課題に取り組むことには高い親和性があると考えています。 「社会課題に向き合うことは、社会課題の本質を見て、資金がなくてもファンドレイジングを通じてどう解消していくか、全体としてどうデザインするかという話です。要はデザインであり、クライアントのビジネスをデザインする広告の仕事と社会課題への取り組みはとてもよく似ています」  そこで後藤さんは、NHメンバーとして独立後の昨年6月からJFRAのファンドレイジングスクールに通い始めました。ファンドレイジングを学ぶことはある意味でMBA等のビジネススクールより有意義であり、スクールではファンドレイジングの知識や作法を体系的に学ぶことができたそうです。  後藤さんも「社会課題の解決には外部をどうやって巻き込んでいくかが重要」という思いを持っていたそうですが、そんな折にスクール運営スタッフの募集がありました。  後藤さんは、これこそ「仕事をしながらファンドレイジングを実践的に学べる機会」「広告を始めとするビジネスセクターの仕事が中心となってしまい、ソーシャルセクターとの関わり合いが薄くなることへの懸念を解消するよきプラン」と考え、応募しました。  現在はスクールの運営スタッフとして講師を押さえるなどの仕事に従事、ゆくゆくは次年度のカリキュラムを計画するなどの仕事にも関わる予定とのことですが、学んだところから仕事をもらうという以上に、OBがコミュニティで学びを続けながら(対価を得て)そのコミュニティを牽引するという姿に、コミュニティ真っ盛りの今風のビジネスデザインが垣間見えます。  なおKさんと後藤さんの活動は、2022年上期に「エポックメイキングなビジネスを創出した」事例としてNH内で表彰されました。 (※)ソーシャルインパクトボンド:資金提供者から調達する資金を元に、サービス提供者が効果的なサービスを提供し、サービスの成果に応じて行政が資金調達者に資金を償還する、成果連動型の官民連携スキーム(日本ファンドレイジング協会による) (写真:後藤さん)

自分たちがやってきたこと、今の環境に近いことが説得力を持つ


 チーム「ソシャる!」は、今日も精力的に活動しています。 NH内に対しては、メンバーへのインタビューやセミナーの実施、チャネル開発など活発な活動が予定され、対外的には「社会問題に関心がない、どうしたらよいかわからない」といった多くのビジネスパーソンに対して、プロボノ研修などのコンテンツ「はじめの一歩」パッケージを開発しているといいます。さらに啓発セミナーなどもふんだんに用意して、中期的には「社会課題解決人材開発」の統合パッケージを作ろうとしているようです。  また全国各地のテレビ局に声をかけて、ご当地NPOの活動を紹介する番組を企画中とのこと。その他、来年2月予定のJFRAの総会「ファンドレイジングジャパン2023」内のオンデマンドセッションとして一般公開する映像の制作も予定されているそうです。  チーム「ソシャる!」の活動の多くは、社会貢献に関する世の中の情報不足の解消と、新たな視点の情報発信によって占められています。今回の取材を終えるにあたり、インタビューでの巻島さんの言葉を思い出しました。 「自分たちがやってきたこと、現在置かれている環境や状況に近い活動こそが、説得力を持つのです」 


公益財団法人社会貢献支援財団 https://www.fesco.or.jp 認定特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会 https://jfra.jpr 特定非営利活動法人 クロスフィールズ https://crossfields.jp 取材と文:山内龍介

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